「なぜ」の危険性
こんにちは、ビジネスコーチの髙木です。
私たち人間の思考は、ともすれば「なぜ」に囚われがちです。
問題が起きれば、「なぜこんなことになったのか」「なぜあの時ああしなかったのか」と、原因を追究しようとする。
でも、その「なぜ」を追求するほどに、ネガティブな感情は増幅されていきます。
後悔、自責、怒り、不安、、、
そんな負の感情が渦巻く中で、建設的な解決策を見出すことは難しい。
むしろ、「なぜ」に囚われるほど、問題はより複雑に、解決は遠のいていくものです。
中国での体験談
中国の工場責任者時代、大口顧客からのクレームに直面した時のこと。
納期に間に合わず、多大なご迷惑をおかけしてしまいました。
当初、私は必死になって原因を探ろうとしました。
資材の手配ミス、コミュニケーション不足、マシントラブル、、
「なぜこんなミスが起きたのか」
「なぜ気づかなかったのか」
頭の中は「なぜ」が渦巻いていました。
でも、その「なぜ」を追求しても、事態は何も変わりませんでした。
むしろ、ミスを恐れるあまり、中国人のマネージャー達はますます萎縮し、現場は混乱していく一方でした。
「なぜ」から「どうする」へ思考の転換
その時、私は思ったのです。
「原因を追及しても、過ぎ去ったことは変えられない」と。
大切なのは、「どうすればこの窮地を脱し、お客様の信頼を取り戻せるのか」
未来に目を向けて、全社一丸となって解決策を探ることだった。
私は部門の垣根を越えて知恵を結集し、お客様とも誠実に向き合いました。
「どうすれば品質を担保できるか」
「どうすれば無理のないスケジュールで生産できるか」
英知を絞った甲斐あって、なんとか納期までに製品をお届けすることができたのです。
心理学者のアルフレッド・アドラーは、「人生のほとんどの不幸は、他人との比較から生まれる」と述べています。
過去と他人に囚われるのではなく、自分たちの未来に目を向ける。
その発想の転換こそが、人生を前に進める原動力になるのです。
また、ピーター・ドラッカーも「もし古いやり方が機能しないのなら、それを捨て去り、新しい道を見つけるべきだ」と説いています。
過去の慣習や前例に縛られるのではなく、柔軟に発想を転換し、新たな解決策を探る。
そのような未来志向の姿勢が、ビジネスを成功に導く鍵となるのです。
以下の表は、「なぜ」の思考と「どうする」の思考の違いを端的に表しています。
原因論と目的論の比較
比較項目 | 原因論 | 目的論 |
基本的な考え方 | 「なぜ失敗したのか?」を追求 | 「これから何ができるか?」を考える |
時間軸の方向 | 過去→現在(後ろ向き) | 現在 → 未来(前向き) |
思考パターン | ・問題点の分析に終始 ・責任の所在を追及 ・同じ失敗を繰り返さない視点 | • 可能性の探求 • 解決策の創造 • 新しい挑戦への意欲 |
心理的影響 | • 自己否定 • 無力感 • 後悔・懺悔 • 責任、詰問文化 | • 自己肯定 • 自己効力感 • 希望・期待 • 支援文化 |
問題解決力 | • 「できない理由」を見つける • 過去の失敗にとらわれる • 解決を先送りする | • 「できる方法」を見つける • 未来の成功をイメージする • 即座に行動を起こす |
自己との関係 | • 過去の自分を否定する • 現状に不満を持つ • 自己嫌悪に陥りやすい | • これからの自分を創造する • 現状を成長の機会と捉える • 自己受容が促進される |
「なぜ」から「どうする」へ
その小さな思考の転換が、私たちを大きく前に進めてくれるのです。
負のスパイラルを断つ
みなさんは今、何かの問題を抱えていませんか。
そして、「なぜ」「どうして」と原因を追い続けていませんか。
もしかしたら、その「なぜ」の連鎖に囚われているのかもしれません。
でも、大丈夫です。
今この瞬間から、思考を切り替えることができるのです。
「なぜ失敗したのか」より、「どう挽回すればいいのか」
「なぜうまくいかないのか」より、「どう工夫すればいいのか」
「なぜ」を手放し、「どうする」に意識を向ける。
その小さな一歩が、ネガティブスパイラルを断ち切る大きな力になるのです。
未来志向の可能性
心理学の権威であるマーティン・セリグマンは、
「ポジティブな思考習慣を身につける最良の方法は、建設的な質問を自分に投げかけることだ」と述べています。
「どうすれば目標を達成できるか」
「どんな選択肢があるか」
「何から始めるべきか」
未来志向の問いを自分に投げかけることで、建設的な思考が生まれてくるのです。
過去は変えられませんが、未来は自分の手で創ることができます。
「なぜ」に囚われるのではなく、「どうする」に思いを馳せる。
そんな未来志向の思考法を、ぜひ一緒に実践していきましょう。
きっと、新しい扉が開かれるはずです。
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