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1on1ミーティングの本質とは?〜「スキル」より大切な「あり方」〜

目次

あるセミナーにて

あるセミナーの休憩時間、参加していた中小企業の営業部長が私のところに来て、こんな本音を漏らしました。

「実は会社で1on1ミーティングを導入したんですが、何をどう話せばいいのか・・・。
毎回、業務の進捗確認で終わってしまって、部下もどこか物足りなさそうなんです」

これは実はとても多くの管理職の方が抱える悩みです。

会社の制度として1on1ミーティングを導入したものの、始め方、進め方、終わり方がわからず、結局は従来の面談と変わらない状況に陥っている。

あなたも似たような状況を経験したことはありませんか?

普通の面談と1on1ミーティングの本質的な違い

多くの企業で実施されている普通の面談は、「報告・連絡・相談」の場になっています。
上司が主導権を握り、業務の進捗確認や指示出しが中心となりがちです。

一方、1on1ミーティングは「対話を通じた関係構築と成長支援」の場です。

情報交換よりも、信頼関係の構築や成長に焦点が当たります。
普通の面談が「何をしたか、何をするか」に着目するのに対し、1on1は「どう感じているか、どうありたいか」にも目を向けるのです。

1on1ミーティングを成功させる3つのフェーズ

多くの方が「コーチングのスキルを習得するのに半年や1〜2年かかるから、1on1ミーティングは難しいのでは?」と恐れていますが、そんなことはありません。

確かにプロのコーチのように高度なスキルを身につけるには時間がかかりますが、効果的な1on1ミーティングを進めるためのポイントはシンプルです。

長年のコーチング実践から導き出した3つのフェーズを押さえれば、あなたも明日から1on1ミーティングの質を高めることができます。

第1フェーズ:心理的安全性の確保

まず最も大切なのは、お互いが安心して本音を話せる環境を作ることです。

ある製造業の管理職が、なかなか部下から本音が聞けずに悩んでいました。
そこで私がアドバイスしたのは、まず批判せず、評価せず、ただ話を聴く時間を作ることでした。
彼は「あなたの意見を知りたい」という姿勢で臨み、少しずつ信頼関係を築いていきました。

具体的には

  • 話の最中に携帯電話を見ない
  • メモを取りすぎず、目を見て聴く
  • 「なるほど」「それで?」と相手の話を促す
  • 相手の言葉を否定しない

これだけでも、場の雰囲気は大きく変わります。

第2フェーズ:内発的動機づけの発見

次に大切なのは、部下が「やりたい」と思うことを見つけることです。

多くの普通の面談では「しなければならないこと」に焦点が当たりがちです。
しかし1on1ミーティングでは、「真に手に入れたいこと」を目指すことが重要です。

「この仕事をしていて、どんな時にやりがいを感じる?」
「どんな時に一番力が発揮できると思う?」
「もし自由にできるとしたら、どんなことにチャレンジしてみたい?」

このような問いかけを通じて、相手の内側から湧き上がるモチベーションを見つけ出してください。

あるIT企業のリーダーは、このアプローチを試してみたところ、普段はおとなしいエンジニアが「実はAIの新しい分野に挑戦したいと思っていた」と打ち明けてくれました。その後、彼はプロジェクトの一部でその技術を取り入れる機会を作り、社内でも注目される成果を上げたそうです。

第3フェーズ:成長へのコミットメント

最後は、ありたい姿に気づき、継続的にチャレンジし、成長できるようサポートするフェーズです。

「次回までに何にチャレンジしてみる?」
「そのために必要なサポートは何かある?」
「いつ振り返りをしようか?」

こうして具体的な行動と次回の対話につなげることで、1on1ミーティングは単なる面談ではなく、継続的な成長の機会となります。

大切なのは「スキル」より「あり方」

私が最も強調したいのは、1on1ミーティングの極意は複雑なスキルではなく、あなたの「あり方」だということです。
部下の話を「リフレーミング」する高度なテクニックよりも、まずは純粋に相手に関心を持ち、相手の成長を願う気持ちが大切です。

あるサービス業の経営者は、従業員のモチベーション低下に悩んでいました。
彼は複雑なコーチング理論より、まず「聴く」ことに徹しました。
その結果、従業員たちは次第に心を開き、自分たちのアイデアで顧客満足度を高める提案をするようになったのです。

今日からできる1on1ミーティングの改善点

では、明日からのあなたの1on1ミーティングをより良くするために、具体的に何ができるでしょうか?

  1. まずは「聴く」ことから始めてみてください。部下の話を遮らず、最低でも5分間は話を聴いてみましょう。
  2. 「今何を考えている?」「どんなことに悩んでいる?」と、業務報告ではなく、相手の内面に関心を持ってください。
  3. あなた自身も少し弱みを見せてみましょう。「実は私もこんなことで悩んでいる」と打ち明けることで、対等な対話の場が生まれます。

最近のある調査によると、
定期的な1on1ミーティングを実施している組織では、従業員のエンゲージメントが34%向上し、離職率が16%低下したというデータもあります。

出典:Gallup社「State of the American Manager」レポート

コーチングの専門スキルは徐々に身につければいいのです。
まずは「あり方」を変えることから始めてみてください。

相手を尊重し、成長を信じる。その姿勢があれば、1on1ミーティングは必ず変わっていきます。

あなたの組織で、明日から1on1ミーティングがどう変わるか、ぜひ試してみてください。

小さな変化が、やがて大きな組織の変革につながっていくでしょう。


株式会社コーチ&メンタージャパン
髙木明宏

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この記事を書いた人

髙木 明宏のアバター 髙木 明宏 株式会社コーチ&メンタージャパン 代表取締役

製造業で30年ラインスタッフ、製造管理職、海外拠点代表を経験してきました。
タイ駐在時にコーチングを知り社内へ導入、自らトップダウン型からコーチング型マネージャーを目指し、次世代のリーダー、マネージャーたちの自発性を引き出し主体性を育て、帰国後も組織力強化の為、マネージャークラスへコーチングプログラムを実施してきました。

マネージャー達の行動の変容に手応えを感じ、自ら社会へ向けて発信していき、国内や海外駐在の日本人、リーダー、マネージャー、経営者に向けてコーチングで関わり、世の中のリーダーをより元気に主体性を持たせ日本企業の組織力を高めていくことに関わっていきたいと思います。

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