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vol.49 セルフ・エフィカシー「自己効力感」とは? 〜やる気を導く5つの習慣〜

目次

はじめに

先日、神戸に住む一人の営業所長とコーチングセッションを行いました。

彼女は「どれだけ頑張っても目標達成できる気がしない」と言い、声のトーンも低く、肩を落としていました。その表情からは自信の欠片も感じられません。

「具体的にどんな目標があるの?」と尋ねると、「今期の売上目標です。前期の130%で、正直難しいと思います」と答えました。

彼女の言葉に、私は「そうだね、確かに大きいね。でも、一気に登るのではなく、まずは小さな山から登っていかない?」と問いかけました。そして我々は大きな目標を、小さな月ごとのマイルストーンに分解し、さらに週単位の具体的な活動目標に落とし込みました。

最初は半信半疑だった彼女も、小さな目標を一つ一つ達成していくうちに、だんだんと表情が明るくなっていきました。3か月後、彼女は「小さな目標をクリアしていくことで、自分にもできるという確信が持てました。

おかげで大きな目標に対しても前向きに取り組めるようになりました」と笑顔で報告してくれたのです。

これこそが、今日お話しする「セルフエフィカシー(自己効力感)」の力です。

セルフ・エフィカシーとは何か?

セルフ・エフィカシーとは、「自分はこの課題を成功させることができる」という信念のことです。
簡単に言えば「自分にはできる」という自信です。

これは単なる楽観主義ではなく、根拠のある自信であり、行動を起こす原動力となります。

私のコーチング経験からも、成果を出す人と出せない人の最大の違いは、このセルフエフィカシーの有無だと感じています。「できる」と信じる力が、困難を乗り越える原動力になるのです。

なぜセルフ・エフィカシーが重要なのか?

あなたがリーダーとして部下を育てる時、「もっと頑張れ」と言うだけでは効果が薄いことを経験したことはありませんか?それは、努力だけでなく、成功体験が伴わなければ、真の自信は育たないからです。

心理学者のアルバート・バンデューラ教授の研究によれば、セルフエフィカシーが高い人ほど:

  1. 困難な課題にも積極的に取り組む
  2. 障害があっても粘り強く努力する
  3. 失敗からも学び、すぐに立ち直れる
  4. ストレスや不安が少ない

という特徴があります。つまり、組織で成果を上げたいなら、メンバーのセルフエフィカシーを高めることが近道なのです。

セルフ・エフィカシーを高める5つの習慣

では、具体的にセルフエフィカシーを高めるにはどうすればよいのでしょうか?
私のコーチング経験から、特に効果的な5つの習慣をお伝えします。

1. 小さな成功体験を積む

冒頭の神戸の営業所長のように、大きな目標は小さなステップに分けることが重要です。企業の現場でも、いきなり大きな目標を掲げるのではなく、達成可能な小さな目標から始めて、成功体験を積み重ねることが効果的です。

小さな成功が「自分にもできる」という確信につながり、より大きな挑戦へのエネルギーになります。あなたのチームでも、目標を小分けにして、小さな成功を祝う習慣を作ってみてください。

2. モデリングと代理体験を活用する

「同じような立場の人が成功している姿を見ると、自分もできるという気持ちになる」これが代理体験の力です。私のクライアント企業では、優秀なメンバーの仕事の進め方を共有することで、他のメンバーも「自分もできる」という感覚を持ち、パフォーマンスが向上しました。

チーム内でのロールモデルの活用や、成功事例の共有は、セルフ・エフィカシーを高める強力な方法です。

3. 肯定的なフィードバックを増やす

「あなたならできる」という言葉が持つ力は想像以上に大きいものです。ただし、闇雲な褒め言葉ではなく、具体的な根拠を示すことがポイントです。「前回のプレゼンでもあなたは論理的に説明していたから、今回の商談も必ずうまくいくよ」というように、過去の具体的な成功体験に基づいたフィードバックが効果的です。

コーチングの中で「アクノレッジメント(承認)」というスキルを重視していますが、これは相手の強みや成長を具体的に言語化して伝えることで、自己効力感を高める強力なツールです。

4. 心身のコンディションを最適化する

疲労やストレス、不安は自己効力感を低下させます。心身の状態が整っていないと、能力を十分に発揮できず、自信も湧いてきません。リーダーとして、チームメンバーの心身のコンディションにも気を配り、適切な休息や気分転換の機会を提供することも大切です。

これは「心理的安全性」を確保するということでもあります。心理的安全性とは、チーム内で自分の意見や感情を恐れなく表現できる環境のことであり、Google社の研究でも高パフォーマンスチームの最重要要素として特定されています。この安心・安全な環境づくりが、セルフエフィカシーの土台となる重要な要素なのです。

5. 真に手に入れたいものに焦点を当てる

「しなければならない(Have to)」ではなく、「真に手に入れたい(Want to)」という意識で取り組むことで、セルフエフィカシーは高まります。

例えば、「売上目標を達成しなければならない」という義務感ではなく、「お客様の課題を解決し、喜んでもらいたい」という内発的な動機に焦点を当てると、創造的なアイデアが生まれ、セルフエフィカシーも高まっていきます。

あなたのチームでセルフ・エフィカシーを育てるには

リーダーとしてのあなたは、部下のセルフエフィカシーを育てる環境を整えることができます。具体的には:

  • 目標設定の際、大きな目標と同時に小さな中間目標も設定する
  • 成功事例を共有し、「私たちにもできる」という雰囲気を作る
  • 具体的な根拠のある肯定的フィードバックを増やす
  • チームメンバーの身体的・感情的な健康に配慮する
  • 「なぜそれをやりたいのか」という本質的な動機を大切にする

これらの取り組みによって、チーム全体のセルフ・エフィカシー(自己効力感)を高め、組織全体の活力を引き出すことができるでしょう。

神戸の営業所長は、小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感を高め、最終的に年間目標も達成しました。
彼女の成功の原動力となったのは、能力そのものではなく、「自分にはできる」という確信だったのです。

あなたも今日から、自分自身とチームメンバーのセルフエフィカシーを高める習慣を取り入れてみませんか?

小さな一歩から、大きな変化が始まります。

出典:バンデューラ, A. (1997). 『激動社会の中の自己効力』. 金子書房.


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この記事を書いた人

髙木 明宏のアバター 髙木 明宏 株式会社コーチ&メンタージャパン 代表取締役

製造業で30年ラインスタッフ、製造管理職、海外拠点代表を経験してきました。
タイ駐在時にコーチングを知り社内へ導入、自らトップダウン型からコーチング型マネージャーを目指し、次世代のリーダー、マネージャーたちの自発性を引き出し主体性を育て、帰国後も組織力強化の為、マネージャークラスへコーチングプログラムを実施してきました。

マネージャー達の行動の変容に手応えを感じ、自ら社会へ向けて発信していき、国内や海外駐在の日本人、リーダー、マネージャー、経営者に向けてコーチングで関わり、世の中のリーダーをより元気に主体性を持たせ日本企業の組織力を高めていくことに関わっていきたいと思います。

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