vol.80「不機嫌な職場」を「ご機嫌な職場」に変える3つの方法

なぜか「不機嫌」なんです
先日、あるIT企業のベテラン管理職の方とのコーチングセッションでのことです。彼は優秀で、経験も豊富。部下のために一生懸命に指導していました。しかし、職場の雰囲気はどこか重苦しく、メンバー同士の協力体制もうまく機能していませんでした。
セッションを重ねる中で、彼はこう漏らしました。
「部下に正しいやり方を教えているのに、なぜかみんな不機嫌なんです。私の言う通りにやれば、もっと効率よく仕事が進むはずなのに…」
この言葉を聞いたとき、私は多くの管理職が陥る「落とし穴」がそこにあると感じました。
あなたの職場は「ご機嫌」ですか?
あなたの職場を思い浮かべてみてください。
メンバー同士が自然に協力し合い、笑顔で仕事をしている「ご機嫌な職場」でしょうか?
それとも、誰もが黙々と作業をこなし、必要最低限のコミュニケーションしかない「不機嫌な職場」でしょうか?
職場に不機嫌が蔓延する原因は、人と人との小さな認識のずれが積み重なることです。
そして、その中で最も多いのが、世代ごとに価値観が違うにもかかわらず、「正解を伝えるのが上司の仕事だ」と思い込んでいることなのです。
「正解を教える」という思い込み
特に50代以上の世代は、日本経済が右肩上がりの時代にキャリアを積みました。高度経済成長期には、「経験を積んだ上司が正解を後輩に伝える」「それを部下が忠実に実行すれば成果が上がる」という構図が、確かに機能していました。
しかし、時代は変わりました。変化が激しく、正解が見えにくい現代において、上司が持っている「正解」が本当に正解とは限りません。むしろ、現場で日々お客様と接している部下の方が、新しい答えを持っていることも少なくないのです。
冒頭のベテラン管理職も、この思い込みに囚われていました。
「押し付ける」から「一緒に探す」へ
私は彼にこう問いかけました。
「部下の方々は、どんなことを考えていると思いますか?彼らの意見を聞いたことはありますか?」
彼は少し考えて、こう答えました。
「意見は聞きますが、間違っていることも多いので、その都度正しいやり方を教えています」
ここに、大きな問題がありました。彼は部下の意見を「聞いている」つもりでしたが、実際には「間違いを正す場」になっていたのです。部下たちは、自分の考えを否定され続けることで、次第に意見を言わなくなり、言われた通りに動くだけの存在になっていきました。
部下にあなたの「正解」を押し付ける
部下の考えを受け入れ一緒に正解を探す
この違いが、「不機嫌な職場」と「ご機嫌な職場」を分けるのです。
「ご機嫌な職場」になる3つのアプローチ
そこで、彼はコーチングプログラムを通じて、傾聴やフィードバックといったコーチングスキルを学び、実践していくことになりました。具体的には、次の3つのアプローチです。
1)考えを聞いて寄り添う
部下の意見を「評価する」のではなく、「理解しようとする」姿勢を持つこと。たとえ荒削りな意見でも、「なぜそう考えたのか」を丁寧に聞いていくことで、部下は「自分の考えが尊重されている」と感じます。
仕事を「指示する」のではなく「伴走する」ことで、部下の参加意欲が高まるのです。
2)前向きなフィードバック
感情的に「これは違う!」と言うのではなく、「この部分のデータが不足しているので、追加すると説得力が増すよ」といった具体的で前向きな表現を心がけること。
国際コーチング連盟(ICF)の研究によれば、建設的なフィードバックは従業員のエンゲージメントを39%向上させるというデータもあります。出典:ICF Global Coaching Study, 2020
3)共有の「場」を使い分ける
日常的な情報共有にはチャットグループを活用し、迅速かつ正確に伝える。一方で、重要なテーマについては対面での打ち合わせで温度感を共有する。
この使い分けが、コミュニケーションの質を格段に上げます。
数ヶ月後に起きた変化
この3つのアプローチを実践し始めて数ヶ月後、彼から報告がありました。
「髙木さん、職場の雰囲気が変わりました。部下たちが自分から意見を言うようになって、メンバー同士で助け合う場面も増えたんです。そして何より、みんなの表情が明るくなりました」
彼自身も、「正解を教える」ことから解放され、部下と一緒に考えることを楽しめるようになったと言います。
Gallup社の調査によれば、従業員エンゲージメントが高い組織は、そうでない組織と比べて生産性が21%高いというデータがあります。まさに、「ご機嫌な職場」が成果を生み出していくのです。
出典:Gallup, State of the Global Workplace 2023
あなたは「一緒に探す」対話をしていますか?
改めて問いかけます。
あなたは部下に「正解」を押し付けていませんか?
それとも、部下と一緒に「正解」を探していますか?
不機嫌な職場を、ご機嫌な職場に変える。
それは、特別な才能や莫大な投資が必要なことではありません。日々の小さな対話の積み重ね、部下の考えに寄り添う姿勢、前向きなフィードバック、そして適切な場の使い分け。
この3つのアプローチを実践することで、メンバー同士が協力し合い、笑顔で仕事に向かう「ご機嫌な職場」が生まれます。そして、それが生産性の向上にもつながっていくのです。
株式会社コーチ&メンタージャパン
代表 髙木明宏
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出典:2025.8 プレジデントあなたのまわりの「不機嫌な人」のトリセツ

