vol.92 雨の日の心の整え方 〜アドラー心理学の視点〜

同じ雨でも、見える景色は違う
先日、朝から雨が降っていました。窓を打つ雨音を聞きながら外を見ると、どんよりとした空が広がっています。
こんな日は、なんとなく気持ちまで重たくなってしまうことがあります。
ところが、同じ雨の日でも、人によって見えている景色はまったく違います。
「雨で嫌だな」と感じる人もいれば、
「今日はゆっくり考える時間が持てそうだ」と感じる人もいます。
雨という出来事は同じなのに、その受け止め方によって一日の過ごし方まで変わってくるのです。
そんなことを考えていると、私は心理学者アドラーの言葉を思い出します。
人生を困難にしているのは誰なのか
アドラーは、
「人生が困難なのではない。あなたが人生を困難にしているのだ。人生は極めてシンプルである」
と言っています。
少し厳しい言葉に聞こえるかもしれません。しかし、この言葉には大きな希望が込められているように思います。
今日という一日を「最悪な日だ」と考えるのか。それとも、「今は雨が降っているだけ。そのうち晴れるだろう」と考えるのか。
その違いが、その後の行動や人生そのものを大きく変えていくからです。
出典|アルフレッド・アドラー『人生の意味の心理学』
雨の日だから見える景色がある
実際の雨の日を思い浮かべてみてください。
私はこの話を考えると、童謡「あめふり」を思い出します。
「あめあめ ふれふれ かあさんが〜♪」という、あの歌です。
坊やにとって雨は嫌なものではありません。なぜなら、大好きなお母さんが傘を持って迎えに来てくれるからです。
雨が降るから相合傘ができる。晴れている日には得られない、特別な時間が生まれるのです。
同じ雨でも、見方を変えると意味が変わります。
これは、私たちの仕事や人生にも通じることではないでしょうか。
出典|文部省唱歌『あめふり』
仕事にも雨の日はある
経営やマネジメントの現場でも、思い通りにいかない日はあります。
売上が伸びない。部下との関係がうまくいかない。予定していた計画が崩れる。そんな時、つい「なぜうまくいかないのだろう」と気持ちが沈んでしまうことがあります。
もちろん、落ち込むこと自体が悪いわけではありません。人ですから、気持ちが揺れるのは自然なことです。
ただ、その出来事をどう捉えるかによって、次の一歩は変わります。
「これは失敗だ」と受け止めるのか。「ここから学べることがある」と受け止めるのか。
同じ出来事でも、その意味づけによって、未来への向かい方は変わっていくのです。
心の向きを少し変えてみる
雨の日を晴れの日に変えることはできません。
けれど、雨の日をどう過ごすかは、自分で選ぶことができます。外に出るのをやめて、静かに考える時間にしてもいい。雨音を聞きながら、少し立ち止まって自分の心を整えてもいい。
仕事でも同じです。起きた出来事をすぐに良い・悪いで決めつけるのではなく、「この出来事は、私に何を教えてくれているのだろう」と問い直してみる。
その小さな問いが、心の向きを少し変えてくれることがあります。
雨のあとには、虹が出ることもある
人生には、晴れの日もあれば雨の日もあります。順調な時もあれば、思うようにいかない時もあります。
でも、雨の日があるからこそ、気づけることがあります。雨の日があるからこそ、誰かの優しさに気づくこともあります。そして雨上がりだからこそ、虹が美しく見えるのかもしれません。
あなたはいま、目の前の出来事をどのように受け止めているでしょうか。
もし今、少し気持ちが沈むような出来事があるなら、それは人生の雨の日なのかもしれません。
でも、その雨の日にも、きっと見える景色があります。
雨の日をどう捉えるか。
その心の向きが、明日の景色を少し変えてくれるのだと思います。
株式会社コーチ&メンタージャパン
代表取締役 髙木明宏

