チームレジリエンス—困難の時こそ、信頼が試される

組織は、どのように立ち直るのか
「レジリエンス」という言葉をご存知ですか?
本来は心理学の言葉で、困難や逆境から立ち直る力、適応力を指します。近年は、組織論でも重要なテーマになっています。特に、予測不可能な危機に直面した時、チームがどのように立ち直るのか—それが組織の強さを測る大事な指標になっているのです。
予期しない大きな困難が生じた時、あなたのチームはどう動いているでしょうか。パニックに陥り、バラバラになってしまう組織もあれば、むしろ一致団結する組織もあります。その違いは何なのか。それが、チームレジリエンスという考え方に関わってくるのです。
チームレジリエンスの本質とは
チームレジリエンスとは、単に「困難から回復する力」ではありません。
それは、困難の中にあっても、チームメンバーが安心感を持ち、互いに支え合い、力を合わせることができる状態を指しています。言い換えれば、危機の最中にも「ここなら大丈夫」と感じられる環境が、どれだけ整っているかということです。
国際的なビジネス環境では、様々な予測不可能な出来事が起きます。政治的変動、経済危機、自然災害など、—そうした環境でも、チームが力を発揮している企業と、そうでない企業の差は、このレジリエンスにあるのです。
では、チームレジリエンスを高めるために、何が必要なのでしょうか。
信頼関係が、すべての基盤
研究によると、危機の中でチームが機能するかどうかは、メンバー間の信頼関係にかかっています。
特に、リーダーとメンバーの間に「あなたたちのことを見ている、大切に思っている」という基本的な信頼があると、危機の時にもチームは動く傾向があります。逆に、危機の中で数字や売上の話ばかりしていては、メンバーの心は離れていきます。
ハーバード・ビジネス・スクール(Amy Edmondson)の研究でも、「心理的安全性」の高いチームは、困難な状況下でこそ、より高いパフォーマンスを発揮することが実証されています。
では、その「心理的安全性」は、どのように醸成されるのか。
それは、日頃からの小さな積み重ねです。メンバーの声に耳を傾ける。困った時に手を差し伸べる。そして、危機の時には、何を優先するのかを明確に示すこと。
困難な時こそ、見えるもの
予測不可能な危機が起きた時、リーダーの判断が問われます。
売上を優先するのか、メンバーの安全と安心を優先するのか。短期的な利益を守るのか、長期的な信頼関係を守るのか。
その判断が、実は、その後の組織の立ち直りの速度を大きく左右するのです。
困難な状況下でも、メンバーが「この組織、このリーダーを信じられる」と感じることができれば、チームは予想以上の力を発揮します。逆に、危機の中で見放された、大事にされていないと感じれば、チームの結束は弱まっていくのです。
あなたのチームは、今、何を感じていますか
予測不可能な大きな出来事の後、あなたのチームメンバーは、何を必要としているのでしょうか。
明確な指示ですか。それとも、「大丈夫だ、みんなで乗り越えよう」という姿勢ですか。もしくは、誰かが現場の状況を理解し、見守ってくれている実感でしょうか。
答えは、組織によって違うかもしれません。ただ、一つ言えることは、チームレジリエンスの高い組織では、こうした困難な時こそ、メンバーが信頼に応えようとする傾向があるということです。
基盤は、日頃から
チームレジリエンスは、一朝一夕では築けません。
それは、日頃から「このチームは、この組織は、私たちを大事に思ってくれている」という小さな体験の積み重ねの上に、初めて成り立つものなのです。
危機が訪れた時に、そうした基盤があるかどうか。それが、チームが立ち上がる力の源になります。
あなたのチームの中に、その基盤はありますか。そして、今、この困難な時期に、どのようなメッセージを発すれば、チームはさらに強くなるのでしょうか。
それを考え、行動することが、リーダーの役割なのだと思います。
出典:Amy C. Edmondson『The Fearless Organization』(HBR Press, 2018)
Harvard Business Review の論文(心理的安全性に関する研究).
Resilience Institute の組織レジリエンス報告書.
株式会社コーチ&メンタージャパン 代表 髙木明宏
- 【9月開催】 バリューアップ・コーチング 無料体験&説明会
ご好評により、今年も10月から「バリューアップ・コーチング」がスタートします。 バリューアップ・コーチングは、プロコーチとの継続的な対話を通して、現在抱えている課題や迷いを整理し、これから実現したい目標を明確にしていく実 […]

