vol.75「自主性」を尊重すると本当に仕事は遅くなるのか?

目次

はじめに

先日、ある管理職の方からこんな質問をいただきました。

「高木さん、自主性って大切だと思うんです。でも、部下に考えさせて行動させていると、どうしても時間がかかってしまって。結局、指示した方が早いんじゃないかと思うこともあるんです」

皆さんも、同じように感じたことはありませんか?

「自主性=放任」という誤解

実は、この質問の背景には、大きな誤解が隠れています。

自主性を重んじるということは、決して「とにかく何でもいいからやってみろ」と試行錯誤を繰り返させることではありません。部下に「丸投げ」することでもありません。

試行錯誤させてしまっては、確かに部下の行動の強化率は下がってしまいます。帰属率が下がると不安になりますし、そもそも増やすべき望ましい行動が減ってしまいます。仕事が遅くなるかもしれません。

では、自主性を育てながら、成果も出すには、どうすればいいのでしょうか?

リーダーの本当の役割は「環境整備」

そのような場合にリーダーに求められるのは、成果のコミュニケーションを行い、期待する業績を明確に伝え、それを達成するための標的行動を強化することです。

具体的には

標的行動を焦点化する – 何をすべきかを明確にする

目指す目標に向かって確実に進めるように、針路を示す – 方向性を示す

目標と行動指標をコンパスに使って、フィードバックを与え続ける – 進捗を確認する

そのための権限や予算などの資源も確保し、環境を整える – 実行できる土台を作る

これが、リーダーの本当の役割です。

自主性を重んじるとは、部下を「放っておく」ことではなく、部下が自ら考え、行動できる「環境を整える」ことなのです。

すべての仕事に自主性が必要なわけではない

もう一つ、大切なことがあります。

それは、すべての仕事に自主性が求められるわけではない、ということです。

グローバリゼーションが進んでいる現代では、これまでにビジネスのスピードが求められます。
ライフネット生命保険CEOの出口治明氏も、権限を明確化した上で部下に仕事を任せればスピードアップが図れるとしています※1。

一方で、安全管理のように、標的行動が決まっていて逸脱なく実行することが最重要項目である業務もあります。

標的行動が未学習で、まずは部下ができるようになるまでシェイピングのテクニックを使って指導することが必要な場合もあります。

自主性を重んじる業務と、決められたルーチンを確実にこなしていく業務を明確に区別することも、リーダーに期待されている役割の一つと言えるでしょう。

※1 出典:島宗理『パフォーマンス・マネジメント』より

あなたのチームでは?

あなたのチームで、部下の自主性を育てながら、成果を出すために、今日からできることは何でしょうか?

まずは、一つの業務について:

期待する成果は明確に伝わっているか?

標的行動は焦点化されているか?

部下が実行できる環境は整っているか?

この3つを、確認してみてください。

自主性とは、部下を放任することではなく、部下が自ら動ける「土台」を整えることから始まるのです。


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株式会社コーチ&メンタージャパン 髙木明宏

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