vol.78 やりたいことを実現する〜五感ビジョンの描き方〜

目次

3年後の場所を想像して下さい

「髙木さん目を閉じてください。そして、3年後のあなたがいる場所を想像してみてください」

今から7年前、私はキャリアを終え、コーチング業を開業しようと決意していました。

ICFメンターコーチとのセッション。上海にいる彼女とのオンラインセッションで、彼女は続けました。

「どこにいますか?」「周りには誰がいますか?」「どんな音が聞こえますか?」

「どんな匂いがしますか?」

私は目を閉じ、3年後の自分を描き始めました。

街中のオフィスビル。窓から差し込む朝日。コーヒーの香り。クライアントとの対話の声。手には、セッションログを書くペン。そして、クライアントの表情が変わる瞬間の、あの空気感——。

不思議なことに、その時の私は「3年後を想像している」のではなく、「すでにそこにいる」ような感覚でした。

それから3年後。私はまさにその場所にいたのです。

あなたのビジョンは、どれくらい「具体的」ですか?

新しいスタートを切る時、多くの方が「目標」を立てます。

「売上を20%アップさせる」 「チームの離職率を下げる」 「新規事業を立ち上げる」

これらは確かに目標です。でも、ビジョンでしょうか?

私がクライアントの経営者や管理職の方々とセッションをする中で気づくのは、多くの方が「数値目標」は持っていても、その先にある本当に実現したい姿が見えていないということです。

「売上が20%アップした時、あなたは何を感じていますか?」 「チームはどんな雰囲気になっていますか?」 「あなたの1日はどう変わっていますか?」

こう問いかけると、多くの方が言葉に詰まります。

なぜなら、ビジョンが抽象的だからです。

ビジョンは「見える」「聞こえる」「感じる」もの

上海のメンターコーチとのセッションで、彼女が教えてくれたこと。
それは、ビジョンは五感で感じられるほど具体的でなければ、脳は動かないということでした。

脳科学の研究によれば、人間の脳は「抽象的な目標」よりも「具体的なイメージ」に強く反応します。「成功したい」という漠然とした願望よりも、「成功している自分の姿」を五感を使って具体的に描いた方が、脳は「それを実現するための行動」を自動的に探し始めるのです。

ビジョンの「解像度を上げる」——これが重要なのです。

SMART目標(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)という目標設定のフレームワークがあります。

目標設定では「M(Measurable:測定可能)」、つまり数値で測ることが重要です。

しかし、ビジョンメーキングでの「具体性」とは、数値だけではありません:

  • どこにいるのか(場所・環境)
  • 誰と一緒にいるのか(関わる人々)
  • 何をしているのか(行動・活動)
  • 何が見えるのか(視覚情報)
  • 何が聞こえるのか(音・会話)
  • どんな匂い・感触があるのか(嗅覚・触覚)
  • どんな気持ちなのか(感情・感覚)

これらすべてを含んだ、まるでそこにいるかのようなリアリティです。

ある営業部長は、「売上目標を達成する」という目標を持っていました。

セッションで私が問いかけました。「売上目標を達成した時、あなたのオフィスはどんな感じですか?」

彼は目を閉じ、こう語り始めました。

「朝9時。オフィスに入ると、営業メンバーが笑顔で『おはようございます』と声をかけてくれる。ホワイトボードには今月の成約実績が書かれていて、目標達成のグラフが右肩上がりになっている。会議室からは、新人が先輩にコツを教わっている声が聞こえる。デスクにはクライアントからの感謝のメールが届いていて、コーヒーを飲みながらそれを読んでいる。チーム全体に活気があって…」

彼のビジョンは、単なる数値目標から、生きた組織の姿に変わりました。

そして半年後、彼のチームは目標を達成しただけでなく、メンバーのエンゲージメントも大幅に向上していたのです。

なぜ、一人では描けないのか?

ここで一つ、重要なことがあります。

私は上海のメンターコーチとのセッションで、一人でビジョンを描いたわけではありません。彼女との対話を通して、描いたのです。

これには理由があります。

私たちの脳は、日常の忙しさの中で「今」に集中するようにできています。目の前の課題、今日の会議、今月の数字。これらが思考を支配し、「未来」について深く考える余裕を奪います。

さらに、私たちは無意識のうちに「できること」の範囲内で考えてしまいます。過去の経験、現在の制約、周囲の常識。これらが「本当に実現したい未来」にブレーキをかけるのです。

ところが、対話が入ると、何かが変わります。

「それは本当にあなたが望んでいることですか?」

「なぜそれが大切なのですか?」

「もし制約が何もなかったら?」

こうした問いかけは、私たちの思考を「現在の延長線上」から解放し、真に実現したい未来へと導いてくれます。

国際コーチング連盟(ICF)の調査によれば、コーチングを受けた人の86%が「自己認識が向上した」と回答し、67%が「目標設定能力が向上した」と答えています(ICF Global Coaching Client Study, 2020)。

対話には、一人では到達できない深さがあるのです。

新しいスタートだからこそ、ビジョンを描く

なぜ、スタートのタイミングでビジョンを描くべきなのか。

それは、「区切り」が、未来を考える最高の機会だからです。

日常の忙しさから少し離れ、これまでを振り返り、これからに思いを馳せる。こうした節目だからこそ、私たちの脳は「未来」に意識を向けやすい状態になっています。

新しいプロジェクトが始まる時、組織が変わる時、人生の転機を迎える時。こうした「区切り」の瞬間こそが、ビジョンを描く絶好のタイミングなのです。

あなたの1年後のビジョンは?

さて、ここであなたに問いかけたいと思います。

1年後、あなたはどこにいますか?

目を閉じて、想像してみてください。

1年後の今日。あなたは達成したことを振り返っています。

  • どこにいますか?
  • 誰と一緒にいますか?
  • どんな気持ちですか?
  • 何を成し遂げましたか?
  • 周りの人々はどんな表情をしていますか?
  • どんな会話が聞こえますか?

そのビジョンは、五感で感じられるほど具体的ですか?

一人で考えても構いません。でも、もし可能なら、誰かと対話しながら描いてみてください

パートナーと。信頼できる同僚と。

そして、コーチと。

対話の中で、あなたの中に眠っていた「本当に実現したい未来」が、言葉になり、イメージになり、そして現実になっていきます。

未来は、今日から始まる

私は上海オンラインセッションの後、メンターコーチにこう言われました。

「髙木さん、あなたはもう、その未来にいますよ。今日から、そこに向かって歩き始めればいいだけです」

その言葉通り、私はその日から、3年後の自分として行動し始めました。

まだ会社も設立していない。クライアントもいない。でも、私は「すでにコーチである自分」として、学び、準備し、人と出会い始めたのです。

あなたの未来は、今日から始まります。

五感で感じられるビジョンを描き、そのビジョンに向かって、今日から一歩を踏み出してください。

そして、もしビジョンを描くサポートが必要なら、私たちがお手伝いします。

無料体験コーチングでビジョンメーキングを体験いただけます

対話を通して、あなたの中にある「本当に実現したい未来」を一緒に描きましょう。

さらに、本格的にコーチングを通じて目標達成と能力開発を目指したい方には、「バリューアップ・コーチングプログラム」ご用意しています。12ヶ月間、1on1コーチングとスキルトレーニングを通じて、あなたのビジョン実現をサポートします。

1月末で受付終了となりますので、新しいスタートに、ぜひご検討ください。

あなたの未来が、実現しますように。

【出典】

  • ICF Global Coaching Client Study, 2020

株式会社コーチ&メンタージャパン
高木明宏

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